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「動詞の原形」の使い方:仮定法現在とは

2013年1月19日(土)に実施された大学入試センター試験が実施されました。

いつもながら良い問題です。英語の問題を見ていて気に入ったのが

第2問 B の 問5の仮定法現在の問題です。

「動詞の原形」の使い方の総合的な理解につながるようにと思いコメントします。


大学入試センター試験 英語問題 2013年1月19日(土)実施

第2問 B 問5  [  ]に入る適語を選べ。

Our family doctor suggested that our son [ 12 ] a complete medical checkup every year.

   ① get       ② getting     ③ is getting       ④ to get


解法のパターン

まず、② getting と ④ to get は、ダメ。

Our family doctor suggested that の後ろは文(節)なっていなければならないので、

判断詞(V1)の be動詞 is か was がなければなりません。

次に、 ① get  と  ③ is getting で悩むことになります。

③ の is getting は進行形と呼ばれる形で、発話の時点で「今、~という行為をしている」という意味になりますから、Our family doctor suggested (私達の家庭医が提案した)という前の方の内容と意味があいません。

① の get は「現在形の get」 ではなく「原形の get」 です。

何故なら、現在形なら、主語がour son で三人称・単数ですから、三単現の"-s"が必要で gets にならなければなりません。

過去形なら、もちろん got になっているはずです。

ここを「原形のget」にしなければならないのは、前の方に suggested(提案した)という動詞が使われているからです。


答えは、⇒⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ①


通常、このような文法規則を「suggest(提案する)の従節は仮定法現在(原形)にする」というように覚えます。

では、

仮定法現在とは

demand、request、desire、propose、suggest、require、insist のような

要求・提案・依頼・希望などを表す言葉が主節で使われている場合は、主節の時制にかかわらず 従属節(これらの動詞の目的語になっている)のthat-節の中では「原形を使う」

と学校で習っているハズです。

これらの語の頭文字をとって「d・r・i・p・s の後ろは原形と覚えるように」と教えている先生もいるようです。 (demand desire / request require / insist / propose / suggest )

このような場合に原形を使うのはアメリカ英語で、これはかなり昔の使い方で、イギリス英語ではshouldをつけて、(should原形動詞) とするとなっています。仮定法現在の使い方に関しては、アメリカ英語のほうが古い英語の使い方が残っていると言われています。ただ最近ではイギリスでも原形を使うこともあるとのことです。


何故、要求・提案・依頼・希望などを表す場合、原形なのか?

何故、仮定法現在の場合は、原形なでしょうか。

 

このような文法理解のカギは「判断語(Verdict)」というVSOPの提案して理解法の中にあります。

「主語の後ろは、動詞(Verb)ではなく判断語(Verdict)である」というのがVSOP英文法の中心の考えです。

動詞の判断語は、[do] Verb という2つの部分 で構成されていると考えます。

※動詞以外の言葉は、 be □□ という2つの部分で構成されています。


[do] は、動詞(Verb)の現在形に組み込まれている 「隠れた do」を表します。


なぜこのような面倒なことを考えるのかというと、次の使い方を見ていただければ理由はすぐ分かります。

平叙文

I         [do]   get    up early every morning.

My son [does] gets  up early every morning.

強調文

I         do   get    up early every morning.

My son does get  up early every morning.

否定文

I         do   not get  up early every morning.

My son does not get  up early every morning.

疑問文

Do   you       get  up early every morning?

Does your son   get  up early every morning?

その応答

            [省略部分]

Yes, I      do     [get  up early every morning].

No, I       do  not [get  up early every morning].

Yes, my son does    [get  up early every morning].

No, my son does not [get  up early every morning].

付加疑問文

You      [do]   get    up early every morning, don't you?

My son [does] gets  up early every morning, doesn't he?

 

つまり、「動詞を使った平叙文」のときだけ do やdoes がありませんが、それ以外の場合はdo やdoes を使って文の操作をしてます。

過去形の場合は did になります。( [did] got  ⇔  did getです)

そして、平叙文の動詞の形は「現在形」とか「過去形」と呼んでいるのですが、実は、これらはまとめ「定動詞(finite verb)と呼ばれる形なのです。

この英文法用語を知っている方はかなりの文法マニアなのですが、本当は、英語のいろいろな使い方をきちんと理解するには不可欠な概念です。

to-不定詞という言葉はよく聞くと思いますが、これは、英名はTo-Infinitive です。

In-finitive の in を取ったものが、finitive で、この元の形がfiniteです。意味は

finite:限定されている、[文法]定形の

finite verb:定動詞=人称・数・時制・法などの限定を受けて形が定まった動詞

Infinitive:不定詞=人称・数・時制・法などの限定を受けない定まっていない動詞形

to のついているものを to-infinitive(to付き不定詞)

to のついていないものを bare/root infinitive(原形不定詞)

と呼び分けています。

 

このような説明はたいていの方は読んでいて面倒臭くなったと思いますが、「仮定法現在」という文法事項を理解するためにはとても重要ですから、しばらく我慢してください。

現在形と過去形は事実を表す

動詞の現在形「しばらく変わらない事実:習慣・真理など」と表し、

動詞の過去形「過去に起きた事実のこと」を伝えています。

これら定動詞(finite verb)と呼ばれるわけですが、

どちらも「事実を伝える表現」です。

その裏返しが「不定詞(infinitive)」で、「不定詞(infinitive)は未事実」を表しています。


to がついている場合は、「これから[必ず]~する」という意味が加わり

to がついていない場合は、「これから~になるかどうかわからないが、~になって欲しい」

という意味を表しています。

この「to のついていない原形の動詞」が、原形[不定詞]

と呼ばれ、この形が使われている場合を「仮定法現在」と呼んでいるのです。

結論:

判断語に動詞の原形が使われている場合は「出来事の未事実性(未然形)」を表しており、

「~になるかならないかよく分からないが[発話している以上~になって欲しいという気持ちがある]」

このような使い方を、仮定法現在と呼んでいることになります。

ちなみに、命令文に「動詞の原形」を使うのも同じ理由です。


その他の、動詞の原形の使い方

さらに、

All [that] you have to do is □□.

(あなたがしなければならないことの全ては~することですよ。 ⇒ ~しさえすればいいのですよ)

とか

All [that] you can do for me is □□.

(あなたが私にできることの全ては~することですよ。 ⇒ ~ならできるわよ)

のような表現の時に、動詞の原形が使われるのも上記と同じ理由です。

All you have to do is ... Smile again for me. ---lyrics---

この歌詞(lyrics)を、to smile for me のように to を付けてしまうと、

二度と微笑んではくれないでしょうし、

stay with me の場合でも、 to を付けたら嫌われるでしょう。

原形でなければなりません。

to を付けると「これから[必ず]~する」という意味が加わるからです。多くの場合、命令的になります。

All you have to do is to clean up your mess.

All you have to do is to work hard.

All you have to do is to try hard to master English.

All you have to do is to change your attitude.

All you have to do is to pay attention; lessons always arrive when you are ready, and if you can read the signs, you will learn everything you need to know.

All you have to do is to telephone this number.

 

これらの表現は、be動詞の後ろにto-不定詞が使われるので、to-不定詞の用法に名前付けができないので、現在の英文法の体系では上手く説明ができません。

これは、be動詞を第1文型:S+V+Mと第2文型:S+V+C、更に助動詞と3通りに分けているせいです。

ですから、「 be to do ...構文」と呼ばれていますが、be動詞の後ろに「動詞の原形」が使われているものは、さらに説明の困難さは倍加されます。

ですから「慣用的には使っている」と文法的説明をしないか、

また、

「説明しない」 ⇒ 使わないことになっている

ようになっています。

単に 「be □□ 」は「[do] Verb」と同じ判断語(V)で、「□□ が判断の中心」と考えれば、

「『動詞の原形=未事実の動詞』が判断で使われている」だけなのです。

それは、現行の英文法は、

「現実に使われている英語表現」を体系立てて説明するのではなく、

昔々のそのまた昔、ラテン語を下敷きに英文法を作った時に

「主語の後ろは動詞だ」と一旦決めたので、以来、「動詞だ」と言い習わされてきた

からです。

現実の英語は、主語の直ぐ後ろの言葉は動詞だけでなく、形容詞や副詞などいろいろな言葉を使っており、品詞の制限などはしていません。

動詞(現在形や過去形)以外の言葉を使う時には、be を使っているだけです。

ですから、動詞以外の言葉を判断語(V)で仮定法現在で使う時は、 be を付けなければなりません。

The coach suggested that our son be ready for game one of the season than for the first day of training camp.


ということで、答えは ①の get です。

これは原形の__ get で、判断詞(do)が隠れていない形です。現在形の[do] get ではありません。

因みに、gets という三単現の"-s"が付いた形が選択肢に無いのは、「suggestを使う場合、口語的な表現では、話の勢いで三単現の"-s"を付けている」からで、getsを選択肢に入れてしまうと「仮定法現在の原形を問う」という問題の趣旨が成り立たなくなってしまうからです。

英語をきちんと理解するのには、英文法的な理解が不可欠です。

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