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英語は「漢字カナ混じり文」

今回は「何故、今までと違う英語の理解法を作らなければいけないか」という理由の一つを説明します。

英語は、ヨーロッパのいろいろな言語が混じった混血言語です。

このような混血は何処の国の言葉でも同じなのですが、英語は、日本語のような「漢字かな混じり文」と似た構造をしていると思われます。


日本語も英語も混血言語

英語は、アングロ・サクソン語というゲルマン語をロジックの基本として、ラテン語やフランス語から大量の語彙を借り入れて複雑で高度な内容を表せるようにしています。

日本語は、文字が無かった昔から日本にあった和語と呼ばれる「ひらがな言葉」を基本ロジックとして、中国語から「漢字」と呼ばれる文字と言葉を借り入れて語彙を豊富にし、複雑で高度な内容を表せるようにしています。


英語は、ゲルマン系のアングロサクソン語やデーン語(デンマーク・ヴァイキングの言葉)が基礎になっているので、古英語(5世紀から11世紀中頃)までは、ドイツ語やオランダ語などの他のゲルマン語と似通っていました。

その後、1066年にフランスのノルマンディ公ギヨーム(即位してウィリアム1世)によって征服され、イングランドはノルマン系フランス貴族に支配され、フランス語が公用語として王室で使われ、政治・経済・法律などの言葉はフランス語になりました。英語は隷属的立場になったイングランド人の日常語としてのみ使われるようになりました。

また、西暦元年前後から5世紀まで、イングランド地方がイタリアのローマ帝国に征服されている間に、当時ローマ帝国で公認され国教になったキリスト教に、イギリス全土が教化され、その当時から宗教関連の言葉はラテン語(ローマ語)が使われていました。

その後、僧侶の子弟の教育が目的として開設されたオックスフォードやケンブリジなどの大学では、学問用の言葉としてラテン語が使われたため、今日でも、宗教・学術用語は当時とほぼ同じ語形でラテン語が使われています。

イングランドを征服した当時のノルマンは、高い文化水準にあり、征服中・後のイングランドのアングロサクソン語は、フランス語文化を多く吸収し、語彙も大量に借り入れました。

このように、いろいろな言葉の混血によって出来上がったのが英語です。

「語順の基本枠組みはゲルマン語」で、通常1音節の短い言葉(Small Words:基本動詞や前置詞・副詞など)です。これらの語彙が口語表現の大半を占めています。

けれども、宗教・哲学的な言葉はラテン語彙、政治・経済・法律的な言葉はフランス語彙からの借り入れで、膨大な数の単語(Big Words:借入語)を使っています。

ある英語史入門書によれば、使用頻度の高い英単語1000語に限って調べると、本来語はそのうちの62%だという。基本中の基本の語のうちの約40%が外来語なのである。調査範囲を広げて、より高度な知的活動に必要な語を含めるとどうであろうか。ある統計では、使用頻度の高い2万語において本来語の占める割合は19%にまで下がり、残りの80%強がラテン語、フランス語、ギリシア語などからの借入語であるという。古英語時代の語彙は外来語の比率の低い、きわめてアングロ・サクソン的なものであったが、今日の英語は、語彙的には、フランス語、ラテン語、ギリシャ語などとの混成語といえるのだる。

本来語 ...... フランス借入語

ask ......... question
begin ...... commence
deed ...... conduct
end ......... finish
hearty ...... cordial
help ......... aid
might ...... power
shape ...... figure
wed ......... marry
wrath ...... anger

(英語史の初歩)より引用


借入語の方が圧倒的に多いので、「英語のもとはラテン語だ」と思っている人が結構います。

これは「漢字は、日本語だ」と思っている日本人がいるのと同じです。

日英の「土着語と借入語」の比較

ここでは、「買う」という意味になる、buy  と purchase で考えてみます。

これらは、

buy :買う        ⇒ ひらがな語 日常使う            中学英語 必修単語



purchase:購買する ⇒ 漢字の熟語 仕事など公式な場で使う  TOEIC 必修単語

に対応すると思われます。


因みに、 Google ってみると、以下のような件数になりました。


対象語(O)が mobile:携帯電話

"I will buy the mobile" 32 件中 4 ページ目 (0.16 秒)

"I will purchase the mobile"15 件中 2 ページ目 (0.11 秒) 

対象語(O)が  camera:カメラ

"I will buy the camera"          約 121 件中 14 ページ目 (0.12 秒)

I will purchasethe camera"       32 件中 4 ページ目 (0.25 秒)

対象語(O)が  machine:機械

"I will buy the machine"        約 86 件中 9 ページ目 (0.20 秒)

"I will purchasethe machine "     20 件中 2 ページ目 (0.11 秒)

対象語(O)が insurance:保険"

I will buy the insurance"         30 件中 3 ページ目 (0.31 秒)

"I will purchase the insurance"    49 件中 5 ページ目 (0.30 秒)


買われるものの「日常性のレベルの違い」によって各々の使用頻度が違うように見受けられます。

日本語の「買う」と「購入・購買する」の違いも同じです。

一番の問題は、

英語が、「アングロ・サクソン語」語源の表現を「日常語 ⇒ 口語」とてして使っている

ということです。

それにもかかわらず、現行の英文法が、ラテン語をベースに作られているので、アングロ・サクソン語の口語ロジックを適切に表現できていないことなのです。

ですから、

I am off to work.

I am in for tea.

I feel like I am in for the fight of my life - Alzheimer's Disease ...

I was in for tea with my family on Friday night

のような、「S is 副詞[的小辞」になっている口語表現は説明しなかったのです。

他にも今の英文法では説明できない英語表現は、大量にあります。

「今の英文法で説明できない表現」は「熟語(イディオム)」と「慣用表現」いう「英文法用語」で呼びます。

「説明されていない」ということを「非文法的である」というような「英語の実体を無視した言い方」をする人がいるくらいです。

借入語は、高尚な感じがする

昔も、多分、今も、「ラテン語・フランス語は高尚な言葉」で、「日常英語は卑俗な言葉」的な印象があるのではと考えられます。

これは日本語でもそうですが、


俺(僕)、このカメラ買いたいんだ。

私は、このカメラを購入する意欲を多大に有しております。


漢字の熟語を使った方が、高等な感じがします、

が、

日常生活でこの言い方をしたら「変な奴」と思われます。

以前、人気グループの「あらし」の歌を生徒に聞かされたのですが、歌詞を文字に当てはめながら聞いていたら「漢字の熟語は全く使っていません」でした。

日本語で、ひらがな語を使うことは「卑俗なこと」ではなく、日本人の心を普通に表す方法です。

英語でも同じで、pop music の 歌詞は「アングロ・サクソン語の短い言葉」が多用されます。 

日本の大学受験などで覚えた「難しい単語」を一生懸命使うと「変な顔をされる理由はここにあります。

我々は「口語表現」をほとんど習っていないので知らないのです。

S-V-O-Pは、アングロ・サクソン語の語順規則

英語の元になっているアングロ・サクソン語の基本ロジックを解明したのが、SVOPという語順規則なのです。

この語順規則は、ドイツ語やオランダ語などの近隣のゲルマン語と非常に似ています。

英吉利人と伊太利亜人を比べてみてください。

同じ民族ではありません。

英語とラテン語が、「同じ言語ロジック」のわけはありません。

英文法がラテン語文法を下敷きに作られたこと自体、英語の実体を反映できなかった最も大元の理由と考えられます。

ネイティブ・スピーカーは、英文法が口語的な表現を適切に表せなくても全然困りません。

ノン・ネイティブが学習する時に困るだけなのです。

一時も早く、英語の口語表現=本当の英語が分かる文法に切り替えなくてはなりません。
 

口語表現は非文法的だから、イディオム(慣用表現)です


と平気な顔をして言うような英語学習は止めなければなりません。

国際化の中、日本が遅れを取っているのはあらゆる経済指標が表しています。
今こそ、日本人が適切な英語理解を身に付けられる英文法が必要なのです。

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