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ガラパゴス化した日本英語の再生へ

新年を迎えて

新年明けましておめでとうございます。

今年も皆様に幸多き年でありますようお祈り申し上げます。


昨年、米パデュー大特別教授の根岸英一博士がノーベル賞受賞決定の際に話されたお言葉に、強く共感を覚えました。


―――毎日新聞記事より根岸博士のご発言の引用―――

――何が受賞につながったのか。

「50年前に米国に移り住み、触媒の研究を始めた時、(無理難題に立ち向かう)ドン・キホーテのような気分だった。真実は誰にも分からないが、真実でないことを一つ一つ取り除けば真実に近付くことができるその作業を厳格に続けてきた」

――日本の若者の化学離れが言われて久しい。

「かつては日本の若い研究者が頻繁に(根岸氏の研究室を)訪れたが最近はほとんどない。『若者よ、海外に出よ』と言いたい。日本は居心地が良いし、 海外の(研究機関の)方が優秀とは限らない。しかし日本を外から見る機会がこれからますます重要になる。日本はもっともっとノーベル賞をとっていい と思う。そのためにはそれなりの努力が必要。今後はその役に立つ活動をしたい」


根岸博士のご苦労がひしひしと伝わってくるお言葉です。

私自身、VSOP英文法を提案して以来、ドンキホーテを演じていると思っています。

『若者よ、海外に出よ』

問題は、『若者よ、海外に出よ』という根岸博士のお言葉です。

私は35年以上、日本で進学塾・予備校で英語を教えてきましたが、『若者が、海外に出なくなった』のは、日本の英語教育にその大きな原因があるのではと思っています。

日本の英語学習の元になっている「学習英文法」が不適切なために、英語力を低下させいるばかりでなく、科学的思考力の育成を阻害しているからではないかということです。

日本の英語教育の標準的解釈法はいわゆる「五文型英文法」と呼ばれるものです。

私自身、中学の頃より五文型英文法で英語を理解しようとしてきましたし、教えるようになってからも、しばらくは五文型英文法を必死に教えていました。

けれども、結局「分かった」という気分にはなりませんでした。

長年の研究で分かったのは、この五文型英文法は、論理的整合性が無いばかりでなく重要文法事項として教えてる内容が、ほとんど英語の実体を反映してしておらず、折角、受験勉強をして大学に入ったとしても「使える英語力」が身に付いていない場合が多いという現実です。

つまり、真剣に受験勉強に取り組んでも、結果として「英語が使えるようになっていない」のです。

特に理系の学生にこの傾向が強いようなのですが、英語を「理詰めで理解しようとするタイプ」は、五文型英文法の説明が非論理的なために、学習の途中で「理解を諦めてしまう」か、「丸暗記して覚えて当座を凌ぐ」ということになってしまうからです。

公理・公準・定理が機能しないのなら、実体に合わせて作り直す必要があります。

早期英語教育は本当に必要か?

昨今、日本人がなかなか英語が上達しないので「小学生から英語指導を開始する」とか「高校では英語で英語を教える」とかということになりました。

また、英語を「社内公用語」にする企業まで現れています。

このような事態を招いたのは「現行の英語教育システムがきちんと機能していない」のが原因ではないかと思われます。

多くの方々の努力にもかかわらず結果として「思うような成果があがっていない」のです。
英語教育は、国全体の重要課題となっています。


問題はその解決方法です。

上記のような小手先の方法は、決して問題の解決にはならず、むしろ、今よりさらに日本人の英語力を低下させるだけではなく、日本語力、人間力をも低下させるのではと危惧されます。

日本人が英語ができるようにならないのは、「学習時期」でもなければ「学習方法」でもないのではないでしょうか?

最大の原因は、英語学習で最も重要な「英語の理解法(英文法)」が現行の英語を適切に説明しておらず、日本人は「英語の実体と違うこと教え込まれている」ことではないでしょうか。
日本人は「本当の英語とは異なる使用規則」を覚えているようなのです。

英語教育は進歩していない

日本では、明治維新の際、イギリスから「五文型の分類を基準にした英文法(五文型英文法)」を学習英文法として取り入れ、以来100年以上もの間、 同じ解釈法を使っています。今までにいろいろな学習方法が工夫され、英語教育は進化してきたかのように思われていますが、実は、本質的には何ら変わっては いません。
それは、解釈のもととなる「英文法」が変わっていないからです。

この「五文型英文法」は、もともと学術的信憑性は乏しく、いままで多くの英語研究者(大学教授を含む)は、「辻褄が合わない」と表明しています。さ らには「五文型英文法で教えるから、日本人は英語ができないのだ」と明言する英語専門家(大学教授)もたくさんいらっしゃいます。

けれども、一旦公教育の標準に据えられたため、日本中で長年に渡ってこの考え方をもとに英語指導が行われています。

けれども、その結果として、昨今では「(五文型)英文法は分かりにくいし役に立たない」ので

「慣用表現を暗記する英語学習」

が学校での標準学習メソッドとなってしまっています。そして、「勉強とは、理屈を考えずに丸覚えすること」と思っている人々を大量に創出しています。

逆に、予備校などでは「正確に読む」として、英文法用語を駆使して「逐条的な英文解釈」を教えているところもあります。

けれども、どのような方法をとっていても『若者が、海外に出なくなった』という現実を引き起こしているのです。

そして、「音声CDを聞けば英語脳が付く」という風潮になっています。

すべての日本人のために

今までは代替案がなかったために、有効な改善方法が見あたりませんでした。

けれども、代替案となりうる学習英文法として、新しく「VSOP英文法」を開発し提案してきています。

この理解法を使えば、学習過程の生徒、学生達ばかりでなく、世界中で働いている日本人が、英語の使用で苦労しなくてすむようになると確信しています。

★ 新しい学習英文法のキーワードは、以下の3点です。

( I ) 軽量化と簡易化 ——————難しい文法用語を使わずに誰もが分かる
( II ) 整合性のある体系化————–
どのような英文でも例外なく理解できる
(III) 日本語と英語のロジックの橋渡し—日本語で考え、英語の語順で分かる


現行の解釈法の問題点

  1. 難しい文法用語を使って英語を説明するので、多くの日本人は英語学習に嫌悪感を持っている。
  2. 文法的な説明が辻褄があっていないうえに、現実の英語を適切に説明できていない。
  3. 例外表現がたくさんあり、熟語(イディオム)・慣用表現として覚えなければならない。

1.説明に使われる用語が難しい

英文法は、およそ200年以上前にイギリスで現在の形になりましたが、ラテン語文法を模して作られたため、体系や用語をラテン語文法から借入してい ます。さらに、日本での英文法用語は、明治期に輸入した際、「ラテン語的文法用語」から「漢字の熟語(中国語的)の文法用語」に翻訳したものです。文法用 語が自体が日本人に難しく感じられるのは当然なのです。

2.文法体系自体が「英語の実体」を反映していない。

英語は「ゲルマン語系のアングロ・サクソン語」をもとに使われていますが、「ロマン語系のラテン語の文法体系」を無理にあてはめたため、英語が本来持つゲルマン語のロジックに注目せずに作られています。ですから、もともと「英語の文作りの実情と大きなずれがある」のです。

3.日本人の学習用に作られていない

また、現行の英文法は、当初より「ネイティブ・スピーカーが、標準的な英語の表現を身に付けるための教養」として作られているため、英語の文作りの「基本ロジック」については自明のこととして触れられていません。

つまり「英語を全く知らないノン・ネイティブの学習用」には作られていないのです。

特に「言語ロジックが全く反対になっている日本人の学習」にうまく機能しなくて当然なのです。

日本人に適した英語の理解法とは

英語文法の基準を、日本文法的に「主語・述語」というような「文節名(言葉の働きの単位)」で考えればよいだけだったのです。

この考えを使うと、英語は、不思議なことに

主語(S) 判断語(V) 対象語(O) 叙述語(P)

というような「4つの文節名」で呼べる、ワンパターンな語順で組み立てられていることに気づきます。

「英語の主語の後ろの言葉を『動詞』という『特定の品詞』で考え、言葉の働きを『品詞名』で解釈してきた」ので、この簡単な英語のロジックに気が付かなかったのです。

これは、現行の解釈法で真実でないことを一つ一つ分析的に取り除いてきて分かったのです。

そして、英語の表現は、以下の一般式で表せるといことになります。

H, {S[m]-[V1-[Mid]-V2]-O[m]}-P

理論の根拠及び詳細は、エッセンス講座をお受け頂ければ簡単に分かります。

日本人の英語は変だ!と思われている

この語順感覚は、長年ネイティブ・スピーカーの中でお過ごしの方には「当たり前のこと」と思えることばかりなのですが、日本ではほとんど知られていない内容です。


これが最大の問題なのです。


VSOP英文法の開発には、たくさんのバイリンガル・スピーカーが携わってくれたましたが、彼らは一様に

「日本人の英語は変だ!」

と言っています。

もちろん、ネイティブ・スピーカー達も変だと思っていますが、表だってはそれを指摘しません。

彼らは「相手に失礼になるような発話」はしません。

英語は、発話全体が敬語体系を形作っているからです。

一時も早く、パラダイム変換を!

英語力は、今後の日本を立ち行かせるための死活的要素です。
機能していない現在の英語学習はパラダイムの変換しなければなりません。

Give a man a fish and you feed him for a day.
Teach him how to fish and you feed him for a lifetime.

人に魚をあげれば彼は一日食べさせられる。
彼に魚の釣り方を教えれば一生食べさせられる

英語教育は、日本が生きていくための最重要優先課題です。
にも関わらず、日本のガラパゴス化した英文法が、日本人の英語力と人間力を蝕んでいます。

日本人に適した「英語の理解法」は日本人が作らなくてはならないのです。

西巻 尚樹
2011,1,1

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