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英語は、語順で「言葉の働き」を表す言葉

人類の使っている言葉は、みな形式が違っていますが、不思議と翻訳することができます。
これは、先達のたゆまぬ努力によって為し得ているものですが、その前提として
「人類が、各々の違う形式の言葉を使って、共通している内容を表している」からです。

● 「語順が自由な日本語」 と「語順で意味を決める英語」

日本語は、「が・の・に・を」のような助詞の使い方を工夫すると、語順を換えても通じるようになっています。

これは、「が・の・に・を」のような格助詞が「その言葉の働き」を表すので、文中の何処で使っても、「が・の・に・を」によって、その言葉の働きが分かるからです。

※ 国語の文法の時間に、日本語の格助詞を「と・の・が・へ・や・から・を・に・で・より」と覚えた方もいらっしゃるでしょう。
このような「助詞(付属語)で格を表す言葉」は「膠着語」と呼ばれています。

英語は、「が・の・に・を」のような助詞がありませんから、語順で言葉の働きを表しています。
ですから「語順を換える」と意味が通じなくなるか、または、意味が変わってってしまいます。
このような言葉を「孤立語」と呼んでいます。

● 日本語は語順を換えても同じような意味を表せる

日本語は「が・の・に・を」を工夫すると語順を換えても通じます。
例えば、
1. 私は、列車での旅行を 好みます。
という標準的な語順の文を元に考えて、語順を換えてみると

2. 私が好むのは、列車での旅行です。
3. 私が好む旅行は、列車での[もの]です。

これらは、普通に使います。

4. 列車での旅行を好むのは、私がです。
5. 好む旅行は、列車でのです、私は。

「私」が最後に使われる場合は、「私」が強調された感じがします。

6. 旅行は好みます、私は、列車でです。
7. 旅行は好みます、列車で、私はです。

ちょっと分かりづらくなりましたが通じます。

8. 好みます、旅行は、列車で、私はです。
9. 好みます、私は、旅行を、それは、列車でです。
10. 好みます、私は、列車での旅行をです。

書き言葉だと分かりづらいのですが、話し言葉ならよく使います。

● 日本語は「がのにを(格助詞)」を上手く使うと、語順を変えても意味が通じるのです。

これは、「格助詞」が「言葉の働き(文節機能:格)」を表すので、語順が自由なのです。

● 英語は語順が変えられない

先ほどの日本語を英語にしてみましょう。

e1. I like traveling on a train.

「英語に翻訳できる」ということは、「共通の内容を表す方法がある」ということです。

日本語の各々言葉の働きに対応する「英語の言葉の使い方の決まり」があるからです。

ところが、英語は日本語のように語順が換えられません。

日本語の「各々の言葉の働き(格)に対応する何か」があるのですが、

それが、「語順」だからです。

「言葉の働き(文節機能:格)」を決めているのは、S-V-O-P という語順なのです。

I  / like  / traveling /on a train.

S    -V-      O       -P

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この e1.の文を元に、先ほどと同じように各言葉の要素の順番を入れ替えてみます。

e2. I on a train like traveling. ×
e3. On a train like traveling I. ×
e4. On a train traveling like I. ×
e5. Traveling on a train like I. ×
e6. Like traveling on a train I. ×

e2~e6のように単語を並べた文は、意味が通じません。
また、単語の並べ方を換えて通じるように工夫することもできません。

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それは、各々単語の意味から、S-V-O-Pという決まった語順ではなくなってしまうからです。

ただ、語順を換える工夫はあることはあります。
It’s … that …. の形(通常「強調構文」と呼ぶ)を使うと語順を変えて通じるようにできます。

e7. It is I who like traveling on a train.
それが、私なのは、その人が、好きなのは列車旅行すること です。

⇒ 私ですよ、列車旅行が好きなのは。
e8. It is traveling on a train that I like the best.
それが、列車旅行なのは、それは、私が好きなのは、最高にです。

⇒列車旅行ですよ、私が好きなのは。

※ ただし、この語順も、It’s … that …. という枠組みを使って
S-V-O-P という語順になるように工夫されています。

It / is ____ /that/ I like the best.

S     -V-     O      -P

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● 日本語は「膠着語」、英語は 「孤立語」

英語は語順が換えられません。それは、日本語のような「助詞」が無いからです。

● 世界の言語は、名詞や動詞など、意味の中心になる言葉に対して、その「言葉の働きの表し方(統語法:シンタクス:syntax) 」の違いにより、いくつかのタイプに分けて考えられるとされています。

★ 「語順」 で「言葉の働き」を表すタイプ。       ⇒ 語順を換えると通じなくなるか、意味が変わる。

◎ 孤立語(こりつご:an isolated language)
・各語の位置で「働き」を表す。中国語がその代表。

※ 「孤立語」という言葉は、2つの意味があります。

一つは、「他に似ているシンタクスを持つ言語がない、独立している言語」という意味ですが、ここでは「一つ一つの単語が独立しており、格の指標を持たない言葉」という意味で使っています。

★ 「言葉の働き」を、「付属語とか語形変化」で表す。 ⇒ 語順を比較的自由に換えられるタイプ。

◎ 膠着語(こうちゃくご:an agglutinative language )
・語幹と接辞の切れ目がはっきりしているタイプ。
・日本語・朝鮮語やウラルアルタイ語族など。
◎  屈折語(くっせつご:an inflectional/inflective language )
・ 語そのものを語形変化させ言葉の働き表すので、語幹と接辞の切れ目がはっきりしないタイプ
・ラテン語やギリシャ語など。

※ 日本語の「格助詞」は「ラテン語の格変化」と同じ働きをしています。

★ その他の形式
上記3タイプと別に「抱合語(ほうごうご、包合語とも書く:an incorporating language)と呼ばれるタイプがあります。

「言語の形態論上の分類」については、Wikipedia を参照してください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%86%A0%E7%9D%80%E8%AA%9E

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● 英語は「孤立語」化した

英語は元は屈折語だったのですが、現代英語は印欧語の中で
「最も孤立語的な性格が強まった言葉」
と言われています。

・古期英語(450‐1100) 名詞は屈折語尾を持ち、動詞は法・相・時制に従い屈折する。
・古期英語(1100‐1500) 文章に方言による大きな揺れが見られる。
・近代英語(1500 以降) 標準化、単純化される。
・現代英語

もちろん、言葉はいろいろな要素を含んだ使い方をしているわけですので「特定の言語を、孤立語・膠着語・屈折語のいずれかに特定して考える」のは適切ではありません。

現代中国語や漢文にも「助字」とか「補語」と呼ばれる使い方があるので、膠着語的要素も持っています。

また、英語も、孤立語・膠着語・屈折語の各要素を含んで使われています。

例えば、英語の人称代名詞は、屈折語の特徴である「格変化」をまだ持っています。

中学の最初に習う「主格、所有格、目的格」という語形変化で、I, my, me や he, his, him she, her, her と覚えた人称代名詞の変化です。

けれども、man (男) や woman(女)のような 普通の名詞は「主語で使う場合(主格)」と「目的語で使う場合(目的格)」が同じ形になっていますから、「格変化しなくなった」と考えられます。

ですから、英語はその歴史の中で「屈折語」から「孤立語的」に変化してきた言葉なのは間違いないようです。

Wikipedia 「英語史」は以下のURL

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E5%8F%B2

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● 英語は語順を一つにした

● 英語は、「屈折語」の特徴である「格変化」や「性変化」などの屈折語尾変化が極端に少なくなり、 一つ一つの言葉が「単独の意味」を表すように変化してきました。

そして、 「文中での言葉(文節)の働きを、語順で決める」ように統一されてきたのです。
ですから、「英語は語順が変えられない」のです。

ということは、「英語の語順は一つしかない」ことを意味します。

何故なら、「語順で言葉の働きを決める」ようにしたのなら、「いくつもの語順タイプ」があると通じなくなってしまうはずだからです。

先ほどの
e1. I like traveling on a train.

という表現には、類義表現がいくつかあります。

e9. I am    fond     of traveling   on a train.
e10.I am   a lover  of traveling   on a train.
e11.I am   in love  with traveling   on a train.
e12.I have a liking  for traveling  on a train.

このような4つの類義表現は、 e1.で like という「動詞」で表現されている部分(文節)が、いろいろな言葉で表現されています。

「英語は語順で意味を決めている言葉」と考えると、「主語の後ろの言葉」は「品詞」は各々違っていますが、同じ位置(語順)で使っている語句(文節)は「同じ働きしている」と考えた方が良いはずです。

e1.  I  /  [do] like /  traveling /  on a train.
e9.  I  / am    fond /  of traveling /   on a train.
e10. I  / am   a lover /  of traveling /  on a train.
e11. I  / am   in love /  with traveling /  on a train.
e12. I  / have a liking /  for traveling /  on a train.
__ 同じ / 同じ働き /  同じ働き 同じ

このように考えると、最初の “I”と、最後の ”on a train” は、同じ言葉ですから「同じ名前で呼べる」のですが、2番目と3番目の言葉のまとまり(文節)は、各々品詞が違います。

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・2番目の言葉のまとまり(文節)は、通常「動詞句」と呼ばれていますが、動詞と考えられている am や have は、この文節の中で「意味の中心」にはなっていません。

  • fond(好きだ:形容詞)
  • a lover(愛好家だ:名詞)
  • in love(大好き状態だ:前置詞句)
  • a liking(好み:名詞)など、

「動詞ではない言葉」が、意味の中心です。

このような「言葉のまとまり(文節)」を「動詞句」と呼ぶのは不自然なはずです。

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では、このような文節の「言葉の働きは?」と考えると

「話し手の判断を表している」ように感じられるので、

「判断語[文節](Verdict)」

と考えるのが、VSOP英文法なのです。

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・3番目の言葉のまとまり(文節)は、「話し手の判断の対象」になっていると感じられるので

「対象語[文節](Object)」

となります。

VSOP英文法の ”O” は、通常言われている「目的語(Object)」の”O” より、広い範囲の言葉の使い方を指す言葉です。

前置詞句も、判断語(Verdict)の後ろで使われている場合は、”対象語[文節](O)” と考えます。

「文節」というのは、「一語または複数の単語で、一つの働きになっている言葉のまとまり」を指します。

使われている言葉の品詞に影響を受けずに「同じ位置で使われる文節は、同じ働きをしている文節」と考えます。

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英語の「一つの語順」とは

VSOP英文法は、英語の理解に、日本語的な「文節」の考え方を使っています。

ここで言う「文節」とは、「一定の言葉の働きを持った言葉のまとまり」を指し、通常「~語」と表されます。

「日本語の文節」に対応する考えは、英語では「phrase(句)」と呼ばれています。

そして、この「文節」という考えを元に英文を分析して、英語の語順が

  • 主語[文節](S) 判断語[文節](V) 対象語[文節](O) 叙述語[文節](O)

という「4つの文節」を順番に言う

というワンパターンで形作られているということを発見したのです。

この考え方は、日本人に馴染みやすい考え方のはずです。

そして、より適切な英語の理解に導ける方法が作れると思っています。

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● 「品詞の定義で分類する」と

前記の類義表現を、今までの「品詞名で分類する解釈法」を使って説明すると以下のようになります。

現行の英文法では、「品詞名」が「言葉の働き」を表していると考えてます。

つまり、「品詞名」が「単語の種類を表す」だけでなく、「その単語を含む文節の働き」も表すようになっているのです。

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e1.  I    /  like        /  traveling  / on a train.

働き: 主語    他動詞        名詞(目的語)   副詞句
e9.  I    / am    fond      / of traveling  /  on a train.

働き: 主語 不完全自動詞+補語   副詞句     副詞句

e10. I    / am   a lover    / of traveling   / on a train.

働き: 主語 不完全自動詞+補語   形容詞句     副詞句

e11. I    / am   in love    / with traveling  / on a train.

働き: 主語  完全自動詞+副詞句  副詞句     副詞句

e12. I    / have a liking  / for traveling  / on a train.

働き: 主語   他動詞+目的語   形容詞句     副詞句

分類 同じ / 動詞句:別の働き修飾句:別の働き/ 同じ

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平均的な日本人で、この分類をきちんと覚えている方がいかほどいらっしゃるでしょうか?

このような「品詞による分類」が、日本人の英文法嫌いを作っていると感じます。

なぜなら、単語の意味を覚えるだけでなく「品詞」も覚えなければならないからです。

そして、最も問題なのは、

このような分類を聞いて、英文の統語法(シンタクス)が理解できるようになる

かどうかということです。

つまり、「語順で言葉の働きを決めている英語」を、「品詞名で説明する」ことが適切かどうかということです。

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● 英語は「語順」で「言葉の働き」を決めている言葉です

英語は、当初、語尾変化や語形変化で「言葉の働き」が決まる「屈折語」でした。その頃は、語順は比較的自由でした。
次第に、語順で言葉の働きを決める「孤立語」に変化していったのです。

ですから「英語の理解」には、もっと「語順」に注目すべきだったのです。

ところが、このように考えることを妨げるているのが、現行の「英文法の品詞の概念」です。

英語の品詞は、“a part of speech(文の一部分)” と呼ばれています。
ですから、現行の英文法では
「『品詞名』 が『言葉の働き』を表している」
と考えられています。

これは、英文法の元になっているラテン語文法の定義をそのまま使っているからです。
英文法用語は、ラテン語文法の用語から借入しています。

ラテン語の「品詞」 は pars で、この言葉が元になって「文を品詞を使って分析・説明する、構文解析する」という ”parse [p:rs/-z]” という動詞を英語でも使っています。

現行の英文法が作られ始めた頃(16世紀後半)は「文法:Grammar」は「ラテン語文法」しかありませんでした。

ですから「あるラテン語の文法分析手法」を使って英文法が作られたのです。

屈折語であるラテン語の考え方を、孤立語化してきている英語の文法にそのまま借用したことになります。
しかも、ゲルマン語系の英語と、ロマン語系のラテン語は、もともと統語法(シンタクス)が違っていたはずなのにです。

つまり、現行の英文法は、「英語は、語順で言葉の働きが決まる」というような「孤立語」であるという考えに基づいていないので、英語の実体とずれた文法になってしまっていたのです。

「英語の言葉の働き」は、言葉の種類(品詞)によって決まるのではなく、「語順で決まっている」のです。

もともと、品詞で言葉の働きを考えてはいけなかったのです。

なぜなら、英語の基本英語は、品詞(言葉の使い方)が非常に幅広く、back のように「名詞・動詞・形容詞・副詞の四通りの品詞の使い方」をする言葉がたくさんあります。
品詞が「言葉の使い方を表している」ので、back という単語自体に「固有の品詞名が付かない」のです。

● 現行の「五文型英文法」は、もともと「言葉の使い方」を説明していない。

現行の学校英文法は、もともと科学的検証の結果から生み出される「英語のシンタクス」を表してはいません。
オックスフォード大学の語源学者だった C.T.Onions(1873~1965)が、20世紀初頭に辞書編纂の際に使った「動詞の使用法による分類法」を、そのまま文法の基準にしています。

動詞の類型による文の分類は、英語のロジック(シンタクス)をもう既に持っているネイティブ・スピーカーには、一定の意味を持つでしょう。
けれども、我々日本人のようなノン・ネイティブが、英語のロジック(シンタクス)を理解するのには適していません。

それは「英語の語順規則(シンタクス)は既に体得している」ということを前提に、単に言葉の分類しているだけだからです。しかも分類基準がずれています。
我々ノン・ネイティブは、動詞の種類によって意味を作っているのではなく、「各々言葉の働きを決めている、一定の語順」を理解しておく必要があるはずです。

また、「言葉の使い方」を「品詞分類の基準にしている」ために「単語の品詞名」と「その具体的な使い方(言葉の働き)」に矛盾が起きています。

「副詞」と呼ばれる言葉で、このような矛盾が顕著に起きます。

このように矛盾した考え方に従って、日本中で英語を教えているのです。

この矛盾を、日本人の力で克服しようとしているのがVSOP英文法なのです。

英語のネイティブ・スピーカーは、日本人の英語学習における苦しみは分かりません。

日本人だけが、日本人に適した英語の理解法を作れるのではと思っています。

なぜなら、日本人は、「孤立語である中国語(漢文)」を、「膠着語である日本語式に読解する方法」を、「漢文の訓読法」として、飛鳥時代(6世紀の終わり頃から8世紀初頭にかけて)には、既に成し遂げているからです。

「訓読法」とは、日本人が外国語の意味を理解する方法です。

「英文の訓読法」は、日本人が作るものなのです。

VSOP英文法の提唱している、S-V-O-P という語順規則は、英語の訓読法なのです。

「漢文の訓読法」については回を改めで説明したいと思っています。

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