「英語で『品詞』って、何て言うの?」 パート1
2009 年 2 月 22 日
現在、日本中で「英語の品詞の定義」とそれに従った解釈法で英語学習を進められています。
そして、その結果として、多くの方が混乱と嫌悪感に陥っています。
それは、今の解釈法に従って学習を深めていくと、深く勉強すればするほど「例外表現」「慣用表現」「~構文」が増えてきて、最初に身に付けた基本的な解釈が、どんどん無効になっていくように感じられてくるからです。
かくして「英文法による正確な解釈を試みた方」は、英文法の泥沼に嵌って、肝心な読解や発話に使えるはずのエネルギーや時間を、英文法での解釈に浪費してしまいます。
これは「現行の英文法での、品詞の定義」に全ての原因があります。
VSOP英文法では、この英語の解釈のもとになっている
「英語の品詞の定義」その物が適切でなかったので、日本人の直感に即した英語の理解法を作りたいと考えています。
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ことの始まり
先日、ある帰国生がやってきて、
「英語で『品詞』って何と言うんですか?」
と聞きました。
皆さんは、「品詞」って、英語で何というかご存じですか?
「英語の品詞は a part of speech と言います」
と言ったら、
その帰国生は
「あり得ない~ぃ!それじゃ、意味不明じゃん?」
と叫びました。そして、続けて
「それって、直訳すると『発話(文)の一部分』になるよね」
「そうです」
「何でそんな馬鹿な名前が付いているの?他に呼び方があるんでしょう?」
「ないです。どんな辞書や文献を読んでも、これ以外の表現は出てきません」
「そっか….。でも何か変だな。私だったら divided かなんか、別の言葉にするな」
「英・米の英文法で『品詞』を、a part of speech と名付けているので、それを基準にいろいろな言葉の使い方を説明をするので、日本人に解りにくい英文法になってしまったのです」
「納得」
と言って去っていきました。
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◆英語の基本単語は、複数の品詞名が付く
英語のもとになっているアングロ・サクソン語語源の基本単語は、「一音節語」がほとんどです。
日本語でも古代大和言葉では、「わたし ⇒ わ」「だれ ⇒ た」「あなた ⇒ そ」のように一音節語が中心でした。
そして、英語の基本単語の多くは「品詞の制約があまりない言葉」です。
一番顕著な例は、back(後ろ) という単語です。
辞書を引くと「名詞」「形容詞」「副詞」「他動詞」「自動詞」と複数の品詞が示されています。
━ 【名詞】 ⇒ (人・動物や物の)背、背中、背部、背部
━ 【形容詞】 ⇒ 背後の, 後方の (⇔front); 裏[手]の
━ 【副 詞】 ⇒ 後ろに[へ, の方へ], 後方へ, 奥へ、もとの場所[状態]へ、 戻って
━ 【他動詞】 ⇒ [人・計画などを]後援する, 支持する
━ 【自動詞】 ⇒ 後退する, あとずさりする, 逆行する
━ 【熟語(イディオム)】back and fill/back away/back down など
★ 何故、英単語には、一つの言葉に「たくさんの品詞」があるか? ★
英語の基本単語にいろいろな品詞名が充てられているのは、「英語の『品詞』という言葉の定義(概念)」に起因します。
英語の「品詞」は、a part of speech(発話の一部分)となっており、以下のように定義されます。
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- 名詞(Noun)は、物の名前を表し「主語、補語」または「動詞や前置詞の目的語」で使われる言葉。
- 動詞(Verb)は、動作を表し、述語[動詞]で使われている言葉。
- 形容詞(Adjective )は、名詞を説明している言葉。
- 副詞(Adverb)は、動詞や形容詞、または他の副詞を修飾している言葉。
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この基準に従って、その言葉の「文中での使われ方」でその言葉の「品詞名」を決めているのです。
ですから、back のようにいろいろな使い方をする基本単語は「いろいろな品詞名」が付きます。
上記の「品詞名の意味」は以下のように書き直すと分かりやすくなります。
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━ 【名詞】の使い方をしている場合 ⇒ (人・動物や物の)背、背中、背部、背部
━ 【形容詞】の使い方をしている場合 ⇒ 背後の, 後方の (⇔front); 裏[手]の
━ 【副 詞】の使い方をしている場合 ⇒ 後ろに[へ、の方へ]、もとの場所[状態]へ戻って
━ 【他動詞の使い方】をしている場合 ⇒ [人・計画などを]後援する, 支持する
━ 【自動詞の使い方】をしている場合 ⇒ 後退する, あとずさりする, 逆行する
━ 【熟語(イディオム)の使い方】back and fill/back away/back down
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つまり、英語の「頻繁に使う基本語彙」を形作っているアングロ・サクソン語語源の一音節語は、いろいろな使い方をするのでいろいろな品詞名が付いているのです。
「英語の品詞は、その語によって固定されている言葉の性質を表していない」のです。
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◆英語の外来語(借入語)は、品詞毎に語形が決まっている
このような頻繁に使う基本単語に対して、英語の単語の大半を占ている「ラテン語、フランス語などを起源とする借入語」では、いわゆる「品詞の区別」がはっきりしています。
基本単語は、英文の基本を形作りますから「使用頻度は高い」のですが、語彙数は少なくなります。
借入語は、抽象的な学術的な内容を表しますから、「語彙数は圧倒的に多い」のですが、「使用頻度は少なく」、特に、日常的な会話の中ではあまり使いません。
例えば、beautiful (美しい)というような少し長い単語(複数音節)がありますが、これは、よく使う言葉ですが、借入語です。
この beautiful という言葉は、今では当たり前に英語の基本単語だと思っていますが、中期英語期にフランス語からの借入され、もともと英語にあった wlitig(美しい)という言葉がすたれ、beautiful というフランス語に取って代わられたと言われています。(「英語雑貨屋」より)
この単語は、日常的によく使いますので基本単語ですが、もとは借入語なので、「名詞形」「動詞形」「形容詞形」「副詞形」がきちんと分かれています。
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【語例】
①名詞形 beauty 美しさ
②動詞形 beautify 美しくする
③形容詞形 beautiful 美しい[ヒト/モノ]
④副詞形 beautifully 美しく[する]
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これらの語の語根は、フランス語から借入した beau(美しい) という言葉で、
現在の英語では
「しゃれ男、婦人の相手役[付き添い]となる男」とか
「恋人、ボーイフレンド」と
言う意味で使っていると辞書には書いてあります。
-ty は「性質・状態・程度などを表わす名詞を作る語尾」です。
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ただ、このような4通りの使い方に対して違う語形を持つ言葉は、「借入語」だけではありません。
health のように、古期英語からの語源を持つ語も語形を変えて4通りの使い方をしています。
これは、「完全」という意味だった heal(治す)に -th(形容詞・動詞から抽象名詞を造る語尾)を付けた言葉です。
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【参考】
①名詞形 health 健康
②動詞形 heal 健康にする
③形容詞形 healthy/healthful 健康な[状態のヒト/動物]/健康によい[モノ/場所]
④副詞形 healthily/healthfully 健康で[過ごす]/健康を増進するように[する]
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英語は、このような「抽象度の高い、長い言葉」は、4通りの語形で、4通りの使い方(品詞)をするのですが、
日常的に頻繁に使う back のような基本単語では、同じ語形でいろいろな使い方(品詞)をしているのです。
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◆英語も「漢字仮名混じり文」
ところで、日本語は、「ひらがな語の和語(大和言葉)」を基本語彙(つなぎ言葉)にして「借入語の漢字の熟語」を、入れて複雑な内容を表現します。
このような日本文を「漢字仮名混じり文」と言っています。
英語も「アングロ・サクソン語系の一音節語」を基本単語(つなぎ言葉)にして、「ラテン語やフランス語」の借入語を入れて複雑な内容を表しています。
ですから、英語も、日本語と同じような「漢字仮名混じり文」になっていると考えると分かりやすくなります。
漢字は「借入語」で、仮名は「その土地にもとからあった言葉」です。
現行の英文法は、借入語的な難しい文の用例を中心に説明していると考えられます。
借入語は、学術的な内容や政治経済法律等、いわゆる「難しい内容」を表すのに使われています。
日本の英語教育は「大学受験」を中心に組み立てられていますので、受験勉強のような難しい英文を読解するには一定の役に立っています。
けれども「基本となる日常語」を形作っているアングロ・サクソン語系の言葉の使い方は、ほとんど頓着していないように感じられます。
日常表現は、英・米人にとっては「当たり前すぎて文法として載せる程のものではない」と考えて無視しているように感じられます。
ですから、ノン・ネイティブの学習者の日本人は、「日常的な会話表現」が文法としてあまり説明されないので、「易しい言葉が使われている程、意味不明になり難しく感じられる」ようになっています。

