「品詞名で、英語の使い方を解釈しようとする」と混乱します
2008 年 12 月 28 日
現行の英文法に従った「英語の解釈法」では
「品詞名」を使って「名詞[的]・副詞[的]・形容詞[的]の3用法」で説明する

凧
のが普通です。
けれども、この「品詞名」による用法分類が、日本人の英語学習を混乱に導いています。
典型的なのはto-不定詞の使い方
このことは、「to-不定詞の使い方」で説明するのが一番分かりやすいのですが、日本中の英文法書には、「『名詞・副詞・形容詞の3用法』で分類してto-不定詞を解釈しましょう」と書いてあります。
けれども、多くの英語の達人達は、「to-不定詞を3用法で分類するは無駄である」と言っています。
理由はいろいろあるのですが、一番の理由は「3用法に分類できない使い方が非常にたくさんある」
ということです。
例えば、
be longing to do、や be hesitating to do、agree to do のような
「自動詞+to-不定詞」の使い方や、
be about to do や be in the mood to do」 のような
「 be+副詞+to-不定詞」や
「 be +前置詞句+to-不定詞」
の使い方です。
これら使い方は、現行の英文法(五文型英文法)で、品詞の定義に邪魔されて説明できない表現なので
「慣用表現」とか「熟語(イディオム)」
といって、文法的説明はせずに、丸覚えするようになっています。
けれども、「慣用表現」として覚えようとしても、このような組み合わせの表現は非常にたくさんあって、学習が進むにつれて、後から後から出てきて、きりがありません。
このような問題は、that節の使い方の解釈でも起きています。
英語の品詞名の定義
これは、英文法の「品詞名の定義」その物に問題があるからです。
今の英文法の「品詞の定義」は、以下のようになっています。
* 名 詞 :主語(S)や目的語(O)、補語(C)で使っている言葉。
* 動 詞 :述語動詞で使っている言葉(自・他動詞の区別がある)
* 形容詞 :名詞を修飾している言葉
* 副 詞 :動詞・形容詞・副詞を修飾している言葉
このような品詞の定義に従って「ある語の使い方」を考えると
- 名 詞と思われている語 が、動詞[的]用法、形容詞[的]用法、副詞[的]用法をしている
- 動 詞と思われている語 が、名詞[的]用法、形容詞[的]用法をしている
- 形容詞と思われている語 が、名詞[的]用法、動詞[的]用法、副詞[的]用法をしている
- 副 詞と思われている語 が、名詞[的]用法、動詞[的]用法、形容詞[的]用法をしている
というように、「ある語の定義」と「その用法」とにズレが生じてしまっているのです。このようなズレは、英語のもとになっている「アングロ・サクソン語系の語句(Small Words とか Little Words と呼ばれている)」で頻繁に起きます。これらの語は、日本語の平仮名語(和語)に相当します。
それに対して、日本語の「漢字の熟語=借入語」に相当する「ラテン語やフランス語などからの借入語(Big Words と呼ばれている)」では、品詞により語形が決まっているので、あまりこのようなズレは起きません。
けれども、英語表現のもとになって、口語で頻繁に使われる「アングロ・サクソン語語源の言葉」は、「現行の品詞の定義」と「その語が使われる範囲」が一致していないのです。
このような問題が起きる最大の原因は、英語の「品詞」という「概念およびその定義」その物にあります。
英語では、品詞は「a part of speech」と呼び、「文の中の一部分」というように
「その言葉の文中での使われ方=働き」として捉えているからなのです。
これによって、日常的によく使われている「アングロ・サクソン語系の語句」を、品詞名で使い方を捉えようとすると、その語の品詞名と定義の矛盾が起きて、混乱が生じてくるのです。
「口語表現は、非文法的である」というような言い方をしている方が多いようですが、まったく逆で、「英文法が間違えているので、アングロ・サクソン語系の口語的な表現を説明できない」だけなのです。
みんな困っている
ネット検索をしていると「to-不定詞の使い方がよく分かりません」という質問をよく見かけます。そして、そのような質問に対して、専門家や経験者、達人の方々が、現行の英文法の文法用語を使って一生懸命回答をなさっているのですが、結局、最後は
文法的解釈は役に立ちませんから「慣用表現」「熟語(イディオム)」として覚えた方が早いですよ!
というアドバイスで終わっています。
品詞名で言葉の使い方を分類するという解釈法が、混乱の原因になっている
「VSOP英文法」は、このような混乱を克服するために、日本人のための英語の理解法の開発に取り組んできました。そして、その結論は
「英語の使い方を、品詞名で分類して解釈するのは無駄であり、むしろ英語の理解の妨げになっている」
という非常にショッキングな内容になってしまっています。
この結論に至る過程を説明するには一定分量の説明が必要ですので、
<A4版18ページのPDFファイル 「品詞名で分類するのは無駄」>
にして、当会ホームページから無料資料としてダウンロードできるようにしました。
この資料をお読み頂ければ、「to-不定詞を、名詞・副詞・形容詞の3用法に分類する」ことが、いかに「無駄で、筋の通らないことか」ということを、ご納得いただけるはずです。
そして、VSOP英文法が提案している「英文のワンパターンなロジック」が、この混乱を解決できる方法である見えてくるのではないがと思っています。
文法に従ってto-不定詞の使い方を解釈しようとすると、専門家でも意見が別れます。ですから、「英文法には例外が多い」ので、「英文法は、語学の理解を助ける一方で、文法にこだわりすぎても、語学の妨げになる」と言われています。日本人の英語理解に重要な働きをするはずの英文法に対して、ずっとこのような状態が続いています。英・米人に作った英文法自体に、何故、疑問を感じないのでしょうか?
「現行の英文法(五文型英文法)が、日本人に英語を分かりにくくしている」という疑いを、日本人全体が持つ必要があると思っています。
日本人に適した英語の理解法は、日本人が開発しなければなりません。
これが、今後の日本の英語学習においてとても重要なことだと思っています。
ネイティブ・スピーカーは作ってはくれませんし、また、作れません。
彼らは英語の母語人なので「英語のロジック」など学ばなくても身に付いています。何故、日本人はこんな簡単なことが分からないのだと思っているだけです。英文法は「学校で習う一つの知識」ですむのです。
けれども「言語ロジックがまったく違う日本人」は、英語のロジックが分かる英語の理解法(英文法)が、英語学習には不可欠なはずです。日本語の言葉の定義とまったく違う「名詞[的]用法・副詞[的]用法・形容詞[的]用法」が、意味を持たなかったのは当然のことなのです。しかも、「例外的用例の方が多い」のです。
VSOP英文法の提案が、このような混乱から日本人が脱出する一助になることを願っています。

